さよなら、大好きな人
「え?え、っと、ラウル……」


「行っておいで。俺はここで待ってるから」



私は困ったようにラウルへと視線を向けるが、ラウルは微笑みながら見送るように告げる。



そう言われれば行かない訳にもいかずにこくりと頷けば、ほんの少しだけ離れた場所へと歩いた。

注目を浴びているのがわかるために居づらい雰囲気ではあるが、まず最初に動いたのはミアさんだった。



「これをどうぞ、ティナさん」


「……え?」


「幸せになって下さいね。私も、もちろんロイもそう望んでます」



手渡されたブーケを渡しながら、幸せそうに柔らかな微笑みを浮かべながらゆっくりと言うミアさん。


困惑した様子でロイを見るも微笑みながら小さく頷かれたので、私は小さな声で「ありがとう」と返した。



それを確認してからロイはちらりとラウルへと視線を向けてから、僅かに声を潜める。



「自分の気持ちから目を背けるなよ、ティナ」


「え……」

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