さよなら、大好きな人
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結婚式が終わり、アンナさんが待っている家まで帰ってくると夕食の準備をしている姿が見えた。
この街に来てからずっと見てきた光景で、僅かに辛そうに顔を歪める。
そんな顔をしていればアンナさんが心配してしまうことがわかっていたので、私は深呼吸を一つしてから声を掛けた。
「アンナさん、ただいま」
「ティナちゃん。お帰りなさい……あら、ブーケを受け取ったの?」
声を掛ければアンナさんは振り返りながら微笑んで迎え入れるも、私の手にあるブーケを見ると少々驚いた表情を浮かべている。
「う、うん」
「ふふ……、ティナちゃんが次の花嫁さんね。あ、じゃあ、花瓶を準備しないと」
私がこくりと頷けば、アンナさんは柔らかな笑みを浮かべながらそう告げる。
軽く手を拭いてから花瓶を探すように視線を店の方へと向けた時だった。
「あの、アンナさん」
「どうしたの?」