暗闇の中に放たれた光~完全版~
それは妹の誕生日を迎える前の日だった。
少し肌寒い気温で、傘がいるかいらないかの雨だった。
当時の俺の貯金箱はいくらひっくり返しても音がしなかった。
小遣いをもらうことなどなかったからだ。
それでも妹を持つ兄として、何としても妹の誕生日を祝ってやりたかった。
悲しい誕生日をあの年で感じさせたくない。
だからせめて、と考えた。
そして俺は、友達を使おうと思った。
使うといっても、「ひったくろう」とかではない。
たかが百円二枚を借りようとしたのだ。
だが俺にとっては百円二枚も借りようとしたのだ。
少し肌寒い気温で、傘がいるかいらないかの雨だった。
当時の俺の貯金箱はいくらひっくり返しても音がしなかった。
小遣いをもらうことなどなかったからだ。
それでも妹を持つ兄として、何としても妹の誕生日を祝ってやりたかった。
悲しい誕生日をあの年で感じさせたくない。
だからせめて、と考えた。
そして俺は、友達を使おうと思った。
使うといっても、「ひったくろう」とかではない。
たかが百円二枚を借りようとしたのだ。
だが俺にとっては百円二枚も借りようとしたのだ。