心にきみという青春を描く
1palette□ 青いひまわり
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――四月。桜並木の坂道を進んだ先にある県立成南(せいなん)高等学校に入学して10日が過ぎていた。
新しい校舎、新しい教室、新しいセーラー服を着た自分にようやく慣れてきたけれど、今日はずっと一日中落ち着かなかった。何故ならば……。
「はあ、どうしよう。緊張してきちゃった」
私はとある部屋の前に立っていた。
帰りのホームルームが終わって急いでここまで来たけれど、ドアにはまだ手が伸ばせずに、さっきからずっと独り言ばかりを言ってしまう。
ドアの室名札には【美術室】の文字。
入学してから各部活動のPR期間があり、色々と迷ったけれど絵を描くのは昔から好きだったので私は美術部に入部届けを出したのだ。
そして今日が部活動の初日。きっと部活内容を説明されたりと、本格的に絵を描くのは明日以降になりそうだけど、まずはきっと先輩たちに挨拶をしないといけない。
……うまく自己紹介できるかな。
入学初日に行われた教室での自己紹介は、最初から噛んでしまったし、挙げ句の果てには声が上擦って笑われる始末。
いつも大事なところで失敗してしまうから、今回はなんとか挨拶ぐらい成功させたい。
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