心にきみという青春を描く
6palette■ 青と白が交差する
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絵を描きはじめた時期は覚えていない。でも絵は物心がついた時から描いていた。
外で友達とサッカーをやるよりも、ひとりで黙々と紙と向き合ってたほうが楽しかったし、上手い下手は関係なく、ただひたすら鉛筆なりペンなり筆で好きなものを描いていることに喜びを感じていた幼少時代だった。
「なあ、お前も美術部だろ?」
日向圭(けい)と出会ったのは中学一年の時。
同じクラスで、しかも五十音の席順の教室で日向は斜め前の席。俺も普段から変わっていると言われるけど、日向は俺以上に変わっていた。
見た目は不良みたいに目つきが悪くて、入学式早々に上級生と喧嘩して勝ってしまったのは有名な話。
態度も横暴で、みんなから避けられることが多い日向は、まさかの俺と同じで絵を描く人だった。
せっかちな日向とマイペースな俺は性格からして合うことはなかったけれど、男子では珍しく俺たちは美術部に所属していて。
しかも部員のほとんどが女子だったので、合う合わないは関係なく、絵を描くという共通点だけで俺たちは友達になった。