心にきみという青春を描く
「葵……葵……っ」
タンカに乗せられた葵の手を握ろうとしたけれど、救急隊員に下がってくれと言われ、その温もりさえも確かめられずに救急車の中に入っていく。
名前や血液型、自分が兄であると伝えた日向はそのまま付き添うように乗り込み、バタンッとドアが閉まる頃、救急車のサイレンが耳元で響いた。
そこから俺の記憶は途切れ途切れ。
ただ遠ざかっていくサイレンを聞きながら、救急車と一緒に駆けつけたパトカーに乗り、事故の詳細を尋ねられたことだけは覚えている。
なにを言ったのか、どうやって説明したのかは分からない。
でもうわ言のように「俺のせいだ……」と、繰り返したことは断片的だけど記憶にある。
それから、俺のスマホが鳴ったのは二時間後の夜。着信は日向から。
葵が死んだという知らせだった。