心にきみという青春を描く
もしかしたら先輩は青いひまわりを描くことで、もう二度と会うことができない葵さんに会えている気持ちになっているのかもしれないし。
会えないということをさらに実感してるのかもしれないし。
自分を責めながら、恋しい気持ちを隠しながらあの絵を描いていたのだと思うと胸が詰まる。
――『完成はしないよ。多分、一生しない』
あの時の先輩の言葉が耳の奥でこだましていた。
完成しないということは、一生忘れられないと言っているのと同じ。時間は戻せない。だから過去は変わらない。
それを痛いほど分かっている先輩だからこそ、今も後悔と戦い続けているのだと思う。
私になにができるだろう。
なにをすれば苦しんでいる先輩を助けることができるだろうか。
先輩は私の告白に忘れられない人がいると言った。きっとそれは振られたということなのかもしれない。
それでもこの気持ちは増すばかりで、過去を知った今のほうがずっと先輩を愛しく感じていた。