心にきみという青春を描く
8palette■ きみという青春を描く
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それから数日が経ち、部活終わりの放課後に私となぎさ先輩はある場所へと向かっていた。
目的地までバスで30分。空は今にも雨が降りだしそうなほど雲っていたけれど、先輩の気持ちを反映するかのようにギリギリの状態を保っていた。
「大丈夫ですか?」
私は先輩の横顔を確認する。
「うん。大丈夫」
口ではそう言っていたけれど、表情からは不安が滲みでていた。バス停に着いたあと、私たちは私立宮ノ森高等学校の門の前で足を止めた。
『日向に会いにいく』と、先輩が言ったのは昨日のこと。それでできれば私に付いてきてほしいと。
もちろん私から催促したわけではなく、先輩が自分で考えて決めたこと。本当は怖くて逃げたいはずなのに、先輩も大きな一歩を踏み出そうとしていた。