心にきみという青春を描く





連日雨模様だった空はペンキで色をつけたみたいな青空へと変わり、カレンダーは7月になった。


「暑くないんですか?」

授業終わりの放課後、今日も普段どおりの部活がはじまった。制服は夏服になったというのに、なぎさ先輩の格好は相変わらずパーカー姿だ。


「全然暑くないよ」

あれから先輩は毎日部活に来るようになった。日向くんの一件で気持ちの整理をつけることができたのか、考え込むようにぼんやりすることもなくなった。


「いや、絶対に暑いですよ」

今年は例年に比べて酷暑だと言われているし、窓を全開にしている美術室でも空気がもやっとしている。


「そうかなあ。慣れちゃったのかも。日光に当たると昔からすぐに肌が赤くなるから、あんまり半袖って着たことない」

「そうなんですか?でもいますよね。日焼けしないで赤くなる人って。なんかヒリヒリして大変そうなイメージがあります」

そんな会話をしていると、筆洗いバケツに水を入れにきた詩織先輩が通りかかった。

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