心にきみという青春を描く
その日の帰り道。私はなぎさ先輩と途中まで一緒に帰っていた。
「みんな喜んでましたね」
「参加するって言っただけなのに大げさだよ」
先輩は自転車をカラカラと押しながら、困ったように眉を下げた。
「嬉しいんですよ。先輩がコンクールに出品する気になってくれて」
あんなに一致団結して沸き立ったのは初めてじゃないかな。
「でも選考で落ちる可能性もあるんだし、プレッシャーには弱いって伝えておくべきだったよ」
「大丈夫ですよ。先輩が作品を描いてくれるってだけで、結果はどうなってもやっぱり嬉しいんです」
仲間の成長を全力で喜べる。改めて私が大好きになった人たちは素敵だと思った。
「なにを描く予定ですか?」
「うーん」と、返事をする先輩の横顔は悩んでいるようにも、考えているようにも見えなかった。きっとすでに頭の中では決まっているのかもしれない。
「今まで描けなかったものをちゃんと完成させようと思ってる」
決意を決めた表情の奥に、私は青いひまわりが見えた気がした。