心にきみという青春を描く
みんなそれぞれ新しい道に進んでいく。
私たちの関係もここからはじまっていく。
先輩はにこりと笑って、私を引き寄せた。
先輩がゆっくりと首を傾ける。
きっとこのまま動かずにいたら、とびっきりの良いことが起こるはず。
……けれど、言わずにはいられない。
「先輩、絵の具がついてます」
さっきからチラチラと視界に入っていて無視できなかった。
「え、どこ?」
「ここです」
パーカーの肘にはアクリル絵の具がべったり。
ドキドキする雰囲気だったのに先輩が「本当だ。気づかなかった」なんて慌てる素振りも見せないから、出逢った頃と一緒だって、和んでしまった。
こんな先輩に私は振り回されながらも、やっぱりどうしたって想いは溢れてしまうのだろう。
「なぎさ先輩、大好きですよ」
私の心のキャンバスにはこれからも永遠に色褪せない、なぎさ先輩がいる。
《心にきみという青春を描く》END