心にきみという青春を描く
そのあと色々な画材を見たあと、先輩はやっぱり青色の絵の具ばかりをカゴに入れている。
ブリリアントブルーやセルリアンブルー。それからフタロシアンブルーにウルトラマンブルー。
全部青色だけど、同じ色はない。ひとつのカラーでこんなにも種類があるなんて、色の特性を知っていなければ使いこなすのは難しそうだ。
「私、今まで暖色系ばかりを好んでいたんですけど、先輩の描くひまわりを見たら青色って素敵だなって思いました」
描きたい絵に絵の具を合わせるのか。それとも使いたい絵の具に絵を合わせるのか。私は今まで前者の考え方だった。
けれど、先輩は後者なのだと思う。
この青色が使いたいからひまわりを描いた。だから先輩の絵は魅力的で枠に囚われない。
「私、この色でフルーツバスケットを描きたいです。苺に林檎に檸檬に葡萄。全部ぜーんぶ青色にします」
すると先輩はクスリと笑った。
「じゃあ、描いたらいつか俺にちょうだい」
「頑張ります……!」
私はこの日はじめてホームセンター以外で画材を買った。
まだ習っていないのに先輩と同じコバルトブルーの絵の具と、先輩が選んでくれた水彩色えんぴつ。
技術もないのに道具だけ立派になったと言ったら『画材が作品の幅を広げてくれることもあるよ』と言ってくれて、今は絵を描きたくてウズウズしている。