心にきみという青春を描く
4palette■ 恋は水玉模様
*
それから数日が過ぎてカレンダーは五月になっていた。五月晴れという言葉があるように連日清々しい天気が続いている。
「待って。動かないで!」
先日学校行事で行われた球技大会での筋肉痛も癒えていないのに、私は今とてもムリな体勢をしていた。
大きな声を出したせいか、優雅にお昼寝をしていた〝三宅さん〟が逃げていってしまい、手に持っていたスケッチブックにはまだ顔しか描けていない。
「あーあ、逃げちゃった」
地面を這うような体勢をしていた私とは違い、なぎさ先輩は外階段の踊場の壁に寄りかかりながら、パーカーのフードを深く被って居眠りをしようとしていた。
「暇なら気を引いてくれたらよかったじゃないですか」
「ムリだよ。猫は気まぐれだし」
そう言いながら先輩は気持ち良さそうなあくびをする。