あの日、もう一度
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「君は…僕を責めてもくれないのだろうね。」
君の眠っているお墓は変わり無く綺麗に掃除されている。
線香の匂いに混じって、あの潮風を思い出す。
車に乗って無意識に辿り着いた先は、僕らの大切な思い出の場所。
「…僕も君のいる所に行きたい。」
身体が冷えているのに気が付いたのは、それから数分後の事だ。
無意識に海へと進んでいた僕の身体は、もう自分の思考で動かなくなっていた。
深い蒼に呑まれて、君の名前を呼ぶ。
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