あの日、もう一度

***



目が合うと彼女は(ほころ)ばせた顔を一遍(いっぺん)させ、不安そうに口を開いた。

「美月君、具合が悪いならもう帰ろう?」

差し出された手には淡いピンク色のハンカチが握られており、そこでやっと自分が泣いている事に気が付いた。

彼女はずっと心配そうにしていたが、慌てて出たのは目にゴミが入ったという簡単な嘘だった。

「五月、十五日・・・ちょうど半年前か。」

一度経験した事があるということは、時間が巻き戻ったとしか考えられない。

頬をつねってみたが痛みを感じるので夢ではなそうだ。

・・・でも、どうして?

疑問はあるが生身の彼女を瞳に映せた、今はそれだけで十分幸せである。

しかし僕には忘れてはいけない本題があった。

それは彼女の死因についてである。



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