魔法界の魔法使いには人間界の魔法使いに負ける落第生がいます
「は?」

後ろから突然腕を掴まれて、驚く美里

「美里、掴まってて!」

「は?おまっ、ちょっと?!」

今から何をするんだ、みたいな声が聞こえた

でも、今はそれどころじゃない

「展開!」

詠唱は中途破棄した

あとは、あたしの想像力にかける!

ぱああんっ

乾いた音がする

そして、あたしの体と美里は、あたしの足元に展開された緑色に光る魔法陣によって宙に浮いた

次は複雑なものを

「複雑展開!」

落下を始める前に複雑展開させる

空中に幾つもの魔法陣が展開され、あたしは順番に踏み込む

それに合わせて、美里も自動的に踏み込むことになる

ぱあああんっ

ぱぱぱああんっ

乾いた音が瞬間的に響く

その直後

美里がいた場所は闇に包まれた

あれは・・・・・・孤空間(こくうかん)

闇で新たな空間を作り、その空間を独立させる魔法

あたしが臨海学校の時に作ったのは、元からある空間を独立させるもの

でもこれは・・・・・・元からある空間にさらに新たな空間を作り、それを独立させるもの

これに人間が触れれば・・・・・・その人を取り込んで、そのまま空間とともに独立させてしまう

まあ、イメージとしてはその部屋に閉じ込められてしまう感じ

無論、そこでは意識がなくなるので魔法も使えない

最悪の魔法

「危なかった」

弱めの魔法陣を少しずつ踏み込みながら浮き上がり、それを繰り返し徐々に下に降りる

ん?やけに下が静かだな・・・・・・なんで?
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