魔法界の魔法使いには人間界の魔法使いに負ける落第生がいます
「っ?!来ます!」

再会を喜んでいると、突然聖理奈が叫んだ

来るなんて、何が?と返さずともわかる

「守れ!」

即座にあたしと紅梨先輩が結界をはった

特別系の全員を守るようにして結界がドーム状に二重にはられる

一番前───ライサに一番近いところ──にいる悠が、小さな声で言った

「・・・・・・熱い」

熱い?

熱い・・・・・・ということは

炎?!

なら、結界よりもこっちの方がいいかも

一旦結界を解いて、すぐに新たな呪文を唱える

「水のベールよ、我らを炎から守らんことを」

紅梨先輩の結界の外側

結界に沿うように厚めの水のベールがドーム状にはられた

その直後───

突き出されたライサの手から、軌道が予測不可能な炎の玉───踊りの炎球(えんきゅう)が放たれた

それは、水のベールや結界によって弾かれるものと

周りの植物に衝突するものとにわかれた

「は?」

「え、ちょっと・・・・・・」

「んな・・・・・・」

「おい・・・・・・」

「・・・・・・ちっ」

「あいつ・・・・・・火事を起こす気か?」

ライサ・・・・・・やってくれちゃったね

そう思ったとき、紅梨先輩の結界が不意にとかれた

「え?」

「ご、ごめんね・・・・・・これ以上、一度に保つのは無理だわ」

疲れた様子の紅梨先輩が申し訳なさそうにいう

仕方ない、魔力や体力的に無理がある

それに、さっきも結界をはってた・・・・・・今一番、魔力を消耗してるのは紅梨先輩だ
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