魔法界の魔法使いには人間界の魔法使いに負ける落第生がいます
この森には、たまに魔法界との間に歪が生じる

まあ、ほんとにたまーになんだけど!

「仕方ない・・・・・・風よ、我を運べ!」

あたしが唱えると、風が巻き起こりあたしの体を浮かせる

ふわふわと風に乗り(本当の意味で)歪によって起こる地震に備えた

歪が生じる=地震なんだよねー、この森

ぐらぐら・・・・・・

「よかった、風があって・・・・・・」

これがなかったら悲鳴あげてた

ああ、まだかな・・・・・・ん?

あれ、カグランじゃ・・・・・・

木々の間に、カンガルーの様な悪魔が数十匹

身を寄せあって座っていた

しかも、その頭上にはへし折れた木の枝が揺れている。今にも落ちそう

まさか、ここって美里の雷が直撃しちゃったとか?

でも、確かにそうだ

あたし達を乗せた、カグラン!

「地震・・・・・・強い!」

5強はありそう・・・・・・動けるはずないか

「仕方ないね・・・・・・」

あたしが今から使う、神級魔法

どうか、成功して・・・・・・!

「大いなる大地よ!その名を示し、我が声を聞け!我が名に従い、術を受け入れよ!」

この呪文、実は・・・・・・

この世で一番難しい、神級魔法の一つ

そして───

ぐらぐら・・・・・・ぐら

お、収まった

それを悟ったカグランは、一斉に木々の間から脱出

そしてその瞬間、枝が今までカグランがいた場所に落下した

よかった・・・・・・

「成功したぁ」

ふぅ

さて、帰りますか

え?テレポーターが無いって?ふふん

そんなもの、魔法界の人間には必要ないって!

「さあ、行くよ!時よ、我が体を運べ!」

その瞬間、一瞬にして時空が凝固した

セピア色に染まる世界、そして

あたしは、その森から姿を消した
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