魔法界の魔法使いには人間界の魔法使いに負ける落第生がいます
「あー、和ね・・・・・・今度話すよ」

急に大人しくなった弥生ちゃんは、またひそひそと返した

なんなんだろう・・・・・・

「っと、話がそれちゃったね!彩音ちゃんはどの曲が好き?」

「えーと、やっぱりDream candyだね!」

「おお、あたしもなんだ!気が合うねー」

ニコニコと笑う弥生ちゃん。でも───

見逃さなかった。あたしは

彼女が、弥生ちゃんが

少しだけ。何かを思い出したように

複雑な表情をしていたことを・・・・・・






「聖理奈」

朝のホームルームが終わり、あたしは聖理奈とお手洗いに行くことに

美里は弥生ちゃんと親しいらしく、春香と三人で話していた

「なに?」

「・・・・・・あのさ、和って、誰?」

「・・・・・・・・・・・・・何のことかしら?」

「美里のお姉さん?」

「・・・・・・・・・・・・・あたしは知らないわ」

歩きながら、聞いてみる。けど、知らないの一点張りだ。

何か、隠してるよね・・・・・・?

弥生ちゃんも、聖理奈と話した時からちょっとおかしかったし

なにか、今まで心にしまい込んでいた思い出を開いたような・・・・・・

いや、無理に踏み込むことは良くないよね・・・・・・

でもでもっ、気になる!

あたしは立ち止まる。急なことだったので、聖理奈も一歩先の場所で止まり、あたしの方を振り返った

「ねえ、教えて・・・・・・?」

真剣な面持ちで言う
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