魔法界の魔法使いには人間界の魔法使いに負ける落第生がいます
杏奈の様子はつゆ知らず、水野先生はあたしに眼光ビームを出しながらキラキラとした目で見てくる

なんかあたし、魔法使わないとヤバイ系?

「ほら、行きなさい」

「さっさといかねーと授業の時間潰れるぞ」

聖理奈と美里に促され、あたしは渋々前に出た

「ガンバ、彩音ちゃん」

「うう・・・・・・弥生ちゃぁん」

悲痛な声を出すあたしに、同情の目を向けてくる弥生ちゃん

助けてくれる人はいなかった・・・・・・

「さあさあ!今、先生がしゅばばばーっとつけた傷を癒して!」

両腕を開いて、笑顔でアピールしてくる先生。

そーいえば、先生はあたしが魔法界の魔法使いってこと知ってるんだよね?だったら───

「傷よ、我が魔力を糧とし治癒と為せ」

皆には背を向けて、ぼそっとつぶやくように唱えた

その瞬間────

ぱああああああああっ

あたしから眩しいほどの光が出現し、教室中をおおった

「きゃあ」

「うわっ」

クラスメイトやあたしは目を腕で覆う。先生は、こんなことになれてるって感じで、興味津々にあたしの光を見ていた

光が収まったころ、水野先生は、長袖を捲りあげ、肘の手前くらいをのぞき込む

「あり?ここに付けた引っかき傷がない!」

おお?

つ、つまり・・・・・・

「治癒せいこ───「あたしのも、治った」」

ん?

んん?

その声は・・・・・・杏奈?

「ずっと気分悪かったけど、治った」

あっけからんと言い放つ杏奈に、クラス中がぽかーんとした

あちゃー・・・・・・コントロール誤っちゃったね

初級のつもりが、上級使っちゃったみたい
< 71 / 196 >

この作品をシェア

pagetop