魔法界の魔法使いには人間界の魔法使いに負ける落第生がいます
『あ、ありがとうございます・・・・・・神崎様』

「神崎?」

ドラゴンの言葉に、サッとあたしを見るみんな

あ・・・・・・やば

「彩音・・・・・・お前、神崎家の者なのか?」

じーっとあたしを見つめ、美里が聞いてくる

ヤバイよ・・・・・・これヤバイよ!

「ごめん、みんな」

「ちょっ・・・・・・彩音?」

聖理奈があたしを見て、心配そうな顔をする

ほかの、先輩や悠、美里もそうだ

いかにも問い詰めたい、と言った顔で見てくる

でも・・・・・・あたしは隠さなきゃ

「ごめん、忘れて」

そして、唱える

「朧な夢よ、虚空の妄想よ」

「え・・・・・・ちょっと、彩音!」

「まさか、本当に・・・・・・?」

「ちょっと待ってよ彩音ちゃ・・・・・・」

みんなの最後の言葉を聞かずに、あたしは唱え終えた

「その記憶、我が思うがままに姿を変えよ!」

その瞬間

みんなはその場に倒れた

『か、神崎様・・・・・・?』

「ごめんなさい、びっくりさせたよね」

あたしの腕に寄りかかってきた聖理奈をゆっくりと地に下ろした

「大丈夫。みんなには、あたしが魔法界の人間だってことと、神崎家の人間ってことを忘れてもらうために眠っただけ」

『つまり、隠していたということで・・・・・・?』

「うん。じゃないと、騒ぎになるから」

『それは、申し訳ありませんでした』

また頭を下げてくるドラゴン

「別にいいよ。こうして記憶を失っていくから・・・・・・ところで」

あたしは、キッとドラゴンを見据えた

「あたしのこと、なんで知ってるの?」

『・・・・・・魔法界の者であれば、誰もが知っていますよ』

「誰もが・・・・・・?」

あたしって、そんなに有名人だったっけ?

『神崎家のご長女様は、とても美しく、知力に優れ、魔力も膨大である・・・・・・と』

ほほう

かなーり、脚色されてますな
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