☆君との約束



「どれくらいの愛情だったら、莉華が逃げないかとか考えてたんだ。愛しても、愛しても、足りない。まだ、愛したい。でも、重すぎたら、きっと逃げられるって」


不安だったのだ。


そう言葉にしたら、きっと、そういうこと。


でも、それを認めてしまうと、まるで、自分が莉華を信用していないようで。


「ごめんね」


でも、これからはいいよね。


だって、莉華は"逃げない”。


相応しくないなんて、言わせないよ。


誰にも。


「これからは嫌ってくらい、莉華を離してあげないし、愛情だって嫌ってくらい注ぐ。誰になんて言われようが、何があろうが、絶対に離さないし、誰も渡さない」


暗い、暗い、欲求だよ。


きっと、それは、君を支配する。


君がどんなに嫌がっても、泣き叫んでも、自分は今更、変わっていくことなんて―……。


「―わかった」


頬を撫でると、莉華は笑って。


「私が愛する以上に、陽向が愛してくれるってことだよね。きっと、その愛に嫌になる時はないと思うけど……永遠なんてないもんね」


「莉華……」


「愛してるよ、陽向」


「……」


「ちゃんと分かってる。嫌でも、これから思い知りそうだよ。愛されてるってこと。ちゃんと分かるから。だから……そんなに泣きそうな顔しなくていいよ。恐怖とか、陽向に抱けるわけないもの」


「……」


「自分の何かが、また、私を壊すなんて思わないで。私が逃げたのは、陽向が自分のせいで死んでしまうと思ったから……とても、とても、怖かったからだよ。陽向のせいじゃない。でも、まぁ、陽向を待たせまくった私は、何やってんだって感じなんだけど」


「そんなこと……っ」


「そんなもんだよ。陽向が今、その胸中に抱えていることだって」


莉華は笑いながら。




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