☆君との約束
「なら、今日は帰ろうか」
「ええ」
どこか悲しげに頷く魅雨。
「早く、帰ってくると良いね」
「そうだな」
『魅雨ちゃんっていうの?私は莉華!陽向の妻だよ!よろしくね!』
明るかった彼女が、戻ってくることを願って。
『生まれたら、赤ちゃん抱かせてね』
『生んであげられなくて、ごめんなさい……』
優しい顔を向けてくる莉華。
裏で嘆く、莉華の姿。
陽希たちはすべてを知っていた。
『俺が追い詰めたから、莉華は壊れたんだよ』
罪の意識に苛まれる陽向を、救えるのは莉華だけ。
『俺の手放したくない想いが、愛情が、莉華を壊した。俺にも、御園の血が流れているということだ』
悲しそうに微笑んだ、俺の片割れ。
大丈夫だよ。
それは気休めにもならない。
あんなにも相思相愛だったのに……どうして、運命というものはうまく動かないのだろうか。