☆君との約束
『……招待状?』
普通に学校に行って、
普通に幼なじみ達とすごして、
順風満帆とは言わなくても、それなりに幸せな子供と同じように過ごせていたはずの相馬の生活。
莉華の様子を見てからか、相馬は自分から『本家に行きたい』とは言わなくなっていた。
でも、この招待状が来た時だけ。
『俺の誕生日だから……』って。
誕生日プレゼントは要らない。
だから、最後でもいいから、本家に行きたいって。
わがままを滅多に言わない、相馬のお願い。
莉華と話し合って、それを承諾。
でも今思えば、それはかなりの間違い。
この頃には総司は本家を離れていて、
和子と総司の両親はとうに亡き人で、
俺らの両親は変わらず海外だし、
陽希たちは仕事が落ち着けたから、
相馬の誕生日にあわせて帰るという話になっていて。
実の両親に愛されることの無い子供なら、一族全体で愛そうと、そう約束したんだ。
俺の両親も他の相馬の兄弟と大差つけずに可愛がり、相馬を愛した。
相馬の誕生日は毎年、部屋がいっぱいになるほどのプレゼントが届いた。
相馬は笑っていた。
幸せそうだった。
それが作り物の笑顔だったとしても、
それでも、いつかは本物にしてやると、そう思っていた。
でも、それすらも全てを壊してしまうほどの、母親の愛というもの。