☆君との約束
『―相馬っ!!』
まさか、一人で和子に会いに行こうと思える勇気がまだ、彼に残っていたなんて。
あんなにボロボロに傷つけられたら、普通、会いたくないと思うものだろう?
和子の部屋とされた場所の前で、障子を少しだけ開けた相馬は何故か狂ったように笑って、自分の頭を掻きむしって。
尋常ではないその様子に、駆け寄った。
部屋から臭う、異常な血の匂い。
鬼の血を引くためか、敏感な俺達は。
『莉華!相馬を……っ!!』
『相ちゃん!』
障子を思い切り開けて、莉華に相馬は任せて。
莉華は中の様子を見ると、軽く悲鳴をあげて、そして、相馬の目を覆い隠す。
『見るな!大丈夫、大丈夫だから!!』
莉華の腕には力がこもり、俺は声を張り上げる。
運がいいのか悪いのか、ちょうど帰ってきた陽希たち。
俺の声で、騒ぎが広まる。
『誰かっ、来い!今すぐ……っ!!』
人の駆ける音がする。
相馬の様子が、どんどんおかしくなる。
『ハハハッ!ハハハハハッ!!!』
―相馬は泣いていた。
泣きながら、大声で笑っていた。
大声で笑って、泣いて、そして、狂ったように叫んで。