☆君との約束
『あの部屋は処分しましょう。もう、必要ない』
総一郎の淡々とした態度にもかなり違和感を持ったけど、それでも、総一郎が自分を見失うことはなくて、俺達は相馬がどうやったら生きてくれるのか、生きることを選んでくれるのか必死で、相馬が自殺しようとする度止めて、相馬に『生きろ』というのは残酷だと知っていながら、相馬を死なせてやりたくなくて。
いつしか、人肌を求めるようになった相馬。
愛してもいない女を、抱くようになった相馬。
和子を求めていたのか、そうではないのかもしれないが、満たされない心を、偽りの温もりで埋めようとしていた相馬。
相馬には不安が尽きなくて、負けるなと思う度、自分は負けそうになったくせにと嫌気がして、でも、不安な心を持ってしまったその度に横を見れば、莉華は微笑んでくれていた。
相馬は和子を決して、名前でも、親とも認めなくなった。
そんな当たり前の状態にほっとする自分がいる裏腹で、年を追う事に孤独になろうとしている相馬に危機感を抱いていた。
十四歳にもなると、自殺をしようとするのはやめてくれるようになった。
その度に泣いて『生きて』と懇願する莉華に負けたのと、
大きくなった弟達に、馬鹿みたいに慕われている自分に気がついたからだろう。
でも、そんな向けられる家族愛すらを信じられなくなった相馬は、告白されても受け付けるはずもなく。
一夜だけの関係という、曖昧で、でも保証もなんにもない、楽な関係を続けていて。