☆君との約束




「……陽向?何を見ているの?」


「ん?可愛いなぁって」


「フフッ、そうね」


今、目の前で、心から幸せそうに笑ってる。


高三になって、相変わらず、不安定な生活を続けていた相馬は唯一の人を見つけた。


「もうっ、相馬!過保護すぎる!!」


「当たり前だろ!お前、そんなに走り回って、転ぶ気か!?」


「3回目の妊娠に、4人目の子供だよ!?そんなに焦らなくても、要領は……」


「って言ったそばから、躓くな!」


―黒橋沙耶。


あの、久貴の親友の子供。


不器用で、和子が死んだばっかりの頃、何度も相馬を救いあげようとしてくれた、久貴の子供は久貴にそっくりで、優しくて、相馬に色んな言葉を与えてくれて。


『自分の人生を、自ら悪夢にしちゃダメだよ。自分を憐れまないで、誇りなさい。それと、相馬の人生は相馬のもの。親に振り回されるなんて人生送るなんて、馬鹿馬鹿しいだろ?たった一回の人生、楽しめ。相馬』


屈託のない笑顔で、あの子を助けてくれた。


色々と過去に沙耶自身も抱えていたみたいだが、それをお互いに吐き出して、支えあって、今、二人は愛し合って、笑い合ってる。


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