☆君との約束
俺等に、父はいなかった。
代わりに、元気な母がいた。
負けん気が強く、何よりも恐ろしい母が。
『……また、告白を断ったんだって?』
食事中、母がそんなことを聞いてきた。
『んー、まぁ』
『彼女、作らないの?』
『興味ないし。大体、13歳とか……早すぎるでしょ』
『そうかな?私、あんたたちのお父さんとは14歳で出逢ったんだけど……』
『……そのお父さんは今、どこに?』
『知らない♥』
訪ねると、いつも恐ろしい笑顔で微笑んでいた母。
父のことが嫌いなんだと、思ってた。
あんなあっさりとした人に限って、そんなことはあり得なかったのだけど。
父の影響か、母の影響か、俺と双子の兄の陽希の容姿は生まれつき、整っていた。
背は高いし、肌は白くて?……何か、美形だと言われてきた。
陽希とそっくりな容姿もまた、人を惹き付けるものがあったんだろう。
自慢ではないが、一ヶ月に三回は必ず、告白されていた。
陽希も、俺も。
興味ないから、断ってた。
期待させるのも、おかしな話じゃん?
優しさなんて……人それぞれだけど、俺の優しさは“断る”ことだったんだ。
そんなある日、また、呼び出されて。
相手は、オドオドとした女の子。