☆君との約束
「やっぱり……御前か」
「うん。どんなにセキュリティが抜群でも、御前は目的の為ならばなんでもするだろ?」
「ああ」
「そうなっちゃ、俺が仕事の時に安心できない。家で仕事をする手も考えたけど、どうしても外に出なくちゃならない時がある。莉華を1人にしたら……御前は容赦なく、莉華を始末するだろう」
震えた手が、ぎゅっと、俺の服の裾を握った。
安心させるように手を重ね、俺は父さんを見つめる。
「そういう訳で、実家にいるよ。それで、俺がいない間、莉華は母さんに任せる。そうすれば、簡単に手出しは出来ないだろう?この家のNo.2の母さんに手を出せば……父さんが何をするかわからないから」
父さんは母さんを深く愛している。
それは、異常と思われるほどに。
母さんを傷つけたものを、父さんは絶対に許さない。
だから、莉華を預けるのには、母さんが最適なのだ。
「お願いしてもいい?母さん」
「ええ。私は構わないわ。莉華さんがそれでいいのなら」
俺は莉華に視線を投げた。
普通の男に嫁ぐなら、しなくていい苦労を俺は莉華にしてもらわなければならない。
それが、少し心苦しい。