☆君との約束
大きな悲しみ side20歳の陽向
最初の異変は、莉華の不妊症だった。
病院で検査された結果、身ごもりにくいと言われたそうだ。
でも、そんなことを悲しみもしないし、莉華がすべてだった俺にとってはどうでもいい案件だった。
けど、それを見過ごさなかったのが、御前である。
「陽向様!今日こそ、甘寵殿から、妻をお選びください!」
家の中、どこにいても追いかけ回される日々。
ああ、鬱陶しい。
初恋すらまだなウブな陽希もグイグイ勧められてるらしいが、丁重に断ってるらしい。
「陽向」
部屋に入ると、莉華が俺を申し訳なさそうに見てきて。
「ごめんね、私……」
「謝るのは、無し。莉華のせいでもなんでもないだろ?」
近寄ると、莉華は首を横に振った。
「それでも、私のせいで陽向は責められているのでしょう?ごめんね、本当に、ごめん」
莉華は何も悪くないのに、謝ってくる。
その事が心苦しく、俺は莉華を抱き寄せた。