☆君との約束
「謝るな」
「っ……」
「莉華は怒るかもしれないけれど、正直、俺は子供なんてどうでもいいんだ。決まりだから、一応やるけどね」
莉華は、すごい勢いで顔を上げる。
(怒ってる?でも、これが本心)
微笑んで。
「……陽向は、子供、欲しくない?」
「ん?」
「子供、嫌い?」
震える声は、どこか怯えているようで。
そもそもね、この家で子供を無事に産めることが奇跡なんだよ。
だって、御前は自分たちに都合のいい妻を、俺らに迎えさせたいんだから。
そんなことは……彼女を傷つけるから、言わないけれど。
「嫌いじゃないよ。ただ……俺は子供よりも、莉華が大事なだけ」
「……」
「莉華が大切で、失いたくない。だから、どうでもいいって言うんだ。莉華の命を危機に晒してまで、子供はいらない。莉華との未来があればいい」
確かに子供は可愛いから、好きだよ?
でも、莉華以上に愛しくて、大切で、守りたいものはこの世にないんだ。
パパにはなってみたいけど、子供は養子を迎えるという手もあるから。
失ったら、二度と手に入らない莉華の存在よりは、
子供に魅力を感じない。