☆君との約束
***



「今日ね、大切な人の日記を見つけたんだ」


既に日課となった、君の元へ訪ねる毎日。


「そうなの?」


僕のことを、君は覚えていないけど。


それでも、"知人”としてなら、そばにいさせてくれる。


「陽向は、それを読んだの?」


「んーん。勝手に読んだら、怒られるかなって」


パラパラとめくっては見るけど、読んではない。


だって、目の前の彼女が書いたものだし。


「読んでもいいと、莉華は思う?」


「?」


こちらの言葉を理解しているのか、どうなのか。


きょとんとした顔で見返してきては、


「陽向は大丈夫」


見当違いのことを、言ってくる君。


「……ダメだなぁ」


風が、吹く。


君は、何も変わらない。


何年経っても、君はいつまでこんな風に。


ああ、ごめん、ごめんね。


謝っても、謝っても、キリがない。


僕がこんなにも大事にしなければ、君はこんなふうになることは無かったかもしれないのに。


「……僕、莉華を失ったら、生きていけないなぁ」


しゃがみこむと、手を伸ばされる。


それに頬をすり寄せると、何故か、涙が出てきた。




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