☆君との約束



「本当、だったんだよ……」


君を傷つけてしまうくらいなら、あの日、君の想いに応えなければよかった。


君に興味が出た、ただ、それだけだった。


執着心とか、基本的にない自分が唯一気になったから……まさか、こんなにも大切な人になるなんて思ってなかったから。


「ごめんね、君さえいれば、他に何もいらなかったのに」


守れなかった。


守れなかった。


君を守れなかった僕が、


君を追い詰めた僕が、


一番に、君の帰りを願っている。


それなら、もっと早く、何か手を打てたかもしれないのに。


「なかないで」


そうしたら、君は今でも笑っていたのに。


「おかしいね、私はずっと陽向のそばにいるよ」


そんな、乾いた笑顔じゃなくて。


手の届かない存在になってもいい。


君が、僕の手が届かないところでも笑って、幸せになってくれたなら。


「うそつき……」


君の頬に触れると、滑り落ちた日記帳。


地面に落ちて、風に捲られて、パラパラと。


「……」


涙もまた、風と交わる。


そして、消えてく。


君の前だけ、それは流れる。


寂しいなんて、言う資格がないのはわかってる。


それでも、君が隣にいないのは寂しいんだ。


< 45 / 119 >

この作品をシェア

pagetop