☆君との約束
そんなある日、陽希が魅雨を連れ帰ってきた。
今まで、ほぼ監禁状態で育ったらしい魅雨は何も知らなくて、反面、色んなことを知っていて、優秀で。
誰もが、魅雨を優遇した。
御前の人間でさえも、魅雨に媚びへつらった。
それを不快に感じながらも、陽希はちゃんと守ってた。
莉華も笑って、魅雨と接してた。
家族を失っていた莉華からすれば、魅雨は可愛い妹みたいな存在だったんだろう。
ショッピングしたり、テレビを見たり、色んなことをして、気分を紛らわして、笑っている莉華。
心配な反面、それがとても嬉しくて。
でも、どんどん、影もついてまわって。
魅雨が来た日も、怪しい動きをする御前。
いつからか、莉華と共に眠ることはなくなった。
莉華がそれを拒絶するようになっていったから。
今考えれば、その間に他の女と子作りをすればいいとかいう、莉華なりの配慮か、はたまた、誰かからの入れ知恵によるものだったんだろう。
夜、魘されて眠れない君を自分の寝所に引き入れようとする度、色んなことを言ってくる御前の人間。
度々、やってくる見知らずな女共。
―消してしまおうか。
鬼の力は、なかった。
陽希みたいに、この御園の家に伝わるその人外の力を使うことは出来なかった。
でも、それでも、俺は普通の人間とは違っていた。