☆君との約束



陽希と魅雨は紗雨を連れて、留守にしていた。


春馬は小さな妹、千華を交えて、莉華と過ごしていたらしい。


普通に遊んでいたところに、その女は―俺が信頼して、任せた女は来たと。


使用人頭は、怯える莉華をとある場所に連れていったらしい。


そこは、女どもと御前に仕組まれたお茶会で。


断れるはずもない。


俺の妻という名目で、この家にいた莉華に。


『ダメだよっ、莉華義姉……』


『大丈夫』


その時の笑顔は、とても儚かったらしい。


止められなかった、と、嗚咽する弟を抱きしめて、


『こんなことぐらいで……』


ブツブツと小言を言っている、御前の当主をどうしてやろうかと思った時。


『―ねぇ、貴ちゃん』


『ん?』


親しげに、倉津医師の名前を呼んだ、久貴くんは。


『あのさ、別室の彼女のことを―……』


『ああ』


『見てきてくれない?結構、やばかったからさ』


『わかった』


倉津医師は頷くと、その部屋から出ていく。


そして、それの入れ違いになるように入ってきた、妙にはだけた服を着ているケバい女。


『あの女の人が……莉華義姉を……っ』


何かを、言ったらしい。


謝り続ける弟がいじらしく、そして、余計に腹が立つ。


女が関わっているなら、尚更。


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