☆君との約束
「息子さん、元気?」
「ええ。メチャクチャ。四歳になるのに……可愛いよ。とても」
「いつか、莉華と遊んでくれるかな」
完全なる親バカだけど、でも、その点なら、俺もかなりの嫁バカだから。
「喜んで」
久貴も、父親になった。
あれから、10年も経つんだと思うと、何か感慨深い。
「そういえば……甘寵殿、廃止できたって?」
敬語を使われると、どこか苦手で。
家のものを相手している気分になるからなのか、とりあえず、彼にはタメ口でお願いしている。
すると、名前に敬称は付けてくるものの、言葉に容赦がなくなって。
「やっと、ね」
「御前の当主もまた、変えたって……」
「すっごく、面倒くさかったけど。……これで、少しはマシになるといい」
「……春馬さんは?」
「……相変わらず?」
「長女が生まれたそうで」
「逆らえないんだよ。―逆らったら、和子が死ぬと脅すから」
そう言われて、従う方もどうかと思うが……。
「止めないの?間違っているの、分かってるくせに」
「……止められなかった」
「え?」
試みたことは、幾度もある。
実は、昨日も……。
「でも、ダメだったよ。今度は、総一郎たちを殺すって言うんだ。誰が逆らえる?彼女は初代の舞で、人を殺すことが出来ることを知っていて」
子供に罪はない。
あんなにも純粋な子供たちを、まだ、あの家の闇に浸らせるのは早すぎる。