☆君との約束
救えるものと救えないもの
『……それで、良いんだね。陽向兄さんは』
電話先で、少しくらい声。
「良いんだよ。それより、千華、元気にしてる?」
『うん……兄さん達の気遣いで、意外と住み心地はいいよ。朝から、高層マンション最上階から降りて学校行くのはかなり手間だけど、まぁ、御前の監視もないしね』
「ごめんね、そんな生活をさせて」
『どうして、兄さんが謝るの。―和子さんもおかしいんでしょ。私、御園の力、継承しようか?』
自由になりたい。
縛られたくない。
そのために、高校生になったら、世界に行くと言った千華。
考古学者では無いけど、そういう感じの、世界の遺跡などを見て回るような、所謂、冒険家みたいな。
そんな一生を送りたいらしい。
必要であれば、結婚はする。
でも、家のための結婚はしない。
俺と莉華、陽希と魅雨みたいな、お互いが全てみたいに思える相手と出会えたら、その時にするそうだ。
ロマンティックで、自由でいい。
「一応、高校はうけるの?」
『まあねー。父さんと母さんに言われちゃったし……高校生の間は、交換留学って形かなー』
はぁ、と、ため息をついているけど、まぁ、仕方がない話だ。
「きっと、心配してるんだよ。特に、父さん。千華は母さんによく似ているし、母さん、家出してから十何年も帰らなかった強者だし、父さんからすれば、千華は願うに願った、待望の女の子だし。出された条件も、そんなに難しくないんでしょ?だったら、ちゃんとクリアして行く方がいいだろうね。―あ、定期的に、俺にも連絡ちょうだいね」
『言いたいことを、相変わらず、一気に……分かってるよ?分かってるけどさぁ……』
ブツブツと文句を言う、千華。
まぁ、流石に千華が小学生になるまでは家にいたふたりだけど、千華が小学生になった途端、あっちに居を構え出したからね。