☆君との約束
―けど、後で思う。
この時の俺は、かなり楽観視していたと。
どうにかして、いつか、大丈夫、助けられる。
それが、あの結果を生み出したんだと。
後で、後悔することになる。
時は、無情にも、呆気なく過ぎていった。
それでも、気が遠くなる年月でも、莉華を待つと決めていた俺の心は安らかで、莉華と他愛もない会話をして、触れ合って、想いを伝えて、仕事をして、家の中の問題に頭を抱え、人と話し合い……ずっと、同じことの繰り返し。
でも、それを繰り返しているうちに、気がつけば、俺は四十一。
春馬は二十四になり、十七歳で飛び出した千華が、二十一歳になって、本格的に海外へ飛び出したその年。
一人の男の子が、この家に誕生した。
春馬と和子の次男―……相馬である。
『俺の名前はさ、春の馬でしょ?俺、この名前が好きなんだ。だから、相馬は……俺の好きな相思相愛って言葉から、それに、相ってさ、アイって読み方もするから。だ俺の名前と合わせて、相馬にしたんだ』
小さな息子を抱いて、笑っていた春馬。
総一郎たちも嬉しそうで、幸せになるのかと思った。
思い詰めた顔ではなくなり、どこか疲れていても、穏やかだと思えた、春馬の表情。
彼が平気なら、無理して壊す必要も無いと―……そう思ったのに。