☆君との約束



それが酷く苦しくて、涙が溢れて、息が出来なくなって。


―なぁ、春馬、お前はそれでいいのか。


和子に縛られたままの人生でいいのか。


それで、お前は幸せなのか、抗わなくていいのか?


逃げてもいいのに、どうして逃げない?


どうしてそれを受け入れる。


あいつを犠牲にして、解決策がいつか見つかればいいと願って……俺の、俺たちのやっていたことは、あっていたのか?


家のことを考えると、これは正解だったはずだ。


……けど、わからない。


莉華を傷つけた後、二度と同じことがないように、皆が幸せになれるように、ただ、それだけを願ってきたはずなのに、どうしても、今の自分でやってることに自信が持てない。


胸元で揺れる、結婚指輪。


莉華をこんなふうにしてしまってから、吹ける勇気のない代物。


ネックレスにして、ずっと首に下がっているそれを、莉華は今、手放している。


「どうして、こうなった……」


これなら、御園の人間は初めから感情を失っている方が楽じゃないのか?


感情さえ持っていなければ、人を愛すことは無い。


そうすれば、誰かを壊すことも、苦しむことも無い。


不幸な子供を、生み出すことも―……。



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