☆君との約束
愛すべき子供
「……で、調子はどうよ?」
双子の兄、陽希はグラスを傾けながら、問いてくる。
「んー……ぼちぼち?相馬を、たまに本家に連れて帰ってみるけど、本当、存在否定しかしやがらねぇし」
「仕方ないよ」
久しぶりの、外での飲み。
陽希と二人で呑みながら、互いのことについて話す。
「春馬、大丈夫かね?」
「さあな」
和子のことを受け入れようとした馬鹿な弟は今、相馬と和子の目のつかないところで過ごしているらしいが……日に日に溢れてくる、和子への嫌悪感。
相馬を可愛いと、愛おしいと思えば思うほど、その想いが俺を苦しめる。
「春馬が相馬と過ごしたいって言うから、置いてきたが……まぁ、ダメな時は連絡しろと言ってあるし」
「もう、立派な父親だな。陽向も」
陽希はもう酔っ払っているのか、クスクスと笑ってばっかり。
「……春馬は、頑張ったよ」
先日、また、和子は子供を産んだ。
その子供たちのことを、とても和子は愛してる。
総一郎、京子、そして、生まれた双子のことは。
「……相馬だけ、蚊帳の外だな」
「相馬はあいつにとっては、実の子ではないらしいからな」
2歳ながらにして、薄々、自分は母親に愛されていないことを感じ取っているんだろう。
莉華もいない環境で、俺とふたりの時が多いから……決して、相馬は『ママ』とは言わない。
そして、俺の事も『パパ』とは言わない。
『ひなくん』と言ってくる。
それはそれで可愛いが……うん、どうしてもやれない自分が、酷く歯痒い。