☆君との約束
「……愛されない子供は沢山いるが、特定して、兄弟の中で一人だけっていうのが……な」
「仕方ないよ。愛は努力では生み出せないから」
「……まあな」
カラン、と、その場に陽希が持っているグラスの氷の音が響く。
「最近はね、相馬や依(ヨリ)も莉華に会わせてみているんだ」
「それで、莉華は平気そうなのか?依はともかく、相馬もまだ小さいだろ」
「どうだろ……楽しく、毎日遊んでいるみたいだけど。折り紙とかして」
「クッ、微笑ましいな」
「でしょ?ほら、見てよ。お陰で、僕のスマホの写真ホルダー、莉華達でいっぱい」
スマホを前に押し出すと、呆れた目を向けられる。
そんな目しているけど、お前のスマホん中も絶対、そう変わらない。
だって、双子だし。
「お前、撮影係なのな」
「いや、気づいたら、連写しててさぁ……」
「この嫁バカめ」
「うるさいな」
「にしても、依も早く馴染んだなぁ」
軽口を叩いていると、陽希はふと、そんなことを言って。
「まだ、幼いと言えば、幼いからね。依も『ひなくん』って呼んでくるけど、まぁ、ちゃんと父親としては認識してくれてるみたい。可愛いよ」
「六歳だもんなぁ……可愛い年頃だよなぁ」
「……紗雨たち、反抗期入りでもしたわけ?」
「いや?うちの子供に、反抗期は存在してねぇ……」
「魅雨の影響かな?」
「かもな、」
あの純粋無垢なように見えて、何か逆らっちゃいけない雰囲気を持つ魅雨。
かなり年の差があるはずの陽希が相手していて、根負けするから、相当な恐妻である。