☆君との約束
依というのは、俺が養子にした子供。
御園の傍系らしいが両親は亡く、御園の血を少しだけでも継いでいるおかげか、かなりの美少女。
ただ……美少女な分、作り物めいた表情のなさが目立つ。
相馬も笑わないから、いつも、家の中は静か。
「来年は、依も小学生かぁ」
「普通に通わせんの?」
「当たり前でしょ。御園のクソ慣習はどうでもいいよ。クソだから」
「守んないと、色々と面倒くさいと思うが」
「女は七年、男は五年、家教育ってやつ?―バカバカしい。依は傍系だし、舞の力はない。相馬だって……和子が捨てたんだ。あいつは俺の息子。どう育てるかは俺が決める。よって、御園の教育法は却下」
「……だけど、総一郎や水樹、氷月も鬼の力は持ってなかった。俺の子供たちは全員女だし、有り得ねぇ。そうなったら、もう、相馬が次代の鬼帝……」
「それでも、まだ、力は自覚してない。自覚した時は、俺の力で止める」
「……できるのか?」
「無理だったら、使えるもの全てを使うだけだよ」
「…………俺、お前のそゆとこ、嫌いじゃねーわ」
「どーも」
変な会話だと、自分たちでも思う。
「莉華、何か変わった節あるか?」
「?、変わったって?」
「相馬たちと触れて……さ」
「どうだろ?気長に待つつもりで、そんなに急いてないからな」
「んな事言ってると、もうすぐ二十年になるぞ」
「いいんじゃない?俺、少なくとも、あと四十年は生きるつもりだし」
「……って、八十過ぎ?元気ですね、陽向さん」
「驚いているのか知らないけど、御園の直系の血なら、それくらいは生きるでしょ。普通に」
「まあな」
大したことない、会話。
でも、この時間は唯一、何かから開放される時間。