☆君との約束
「ひなくんも本、面白いー?」
「うん、まぁ、読み応えはある」
そんな在り来りな感想しか述べられない。
その他に、この本の感想をこの幼子に伝えようか。
「依も読みたい」
「依には、まだ難しいと思うよ。今度、好きな本を好きなだけ買ってあげるから」
そう言うと、嬉しそうに鼻歌を歌い出す依。
それに合わせて、歌おうと必死になる相馬。
無理しなくていいのに。
に、しても……。
(ほんっと、うちの子は可愛いなぁ……)
おじさんくさいって?
分かってますよ。そして、もう、おじさんですから。
また、折り紙に夢中になり始めた二人。
その光景を見て、俺は眼鏡を外した。
「ふう……」
ここ数年で、かなり視力が落ちた。
莉華の事件があった時は、ストレスからか、かなり痩せたけど、まぁ、今回の視力落ちの原因は歳ですね。
老眼かな。四十も半ばだし。
本に栞を挟んで、軽く目元を揉む。
御園の権力行使によるもののせいか、まあ、広い病室。
四つもあるベットのうち、ひとつで折り紙遊びをしている二人。
ベットの上が折り鶴や指輪、そして、風船やバラの花、ランドセル……って、魅雨の折り紙技術、やばくない?
ケロッとした顔をして、ランドセルって……なんちゃ、眼鏡とかもあるし。
俺、ああいうの、CMでしか見たことねぇ……。
陽希、お前の嫁さん、器用すぎるわ。