【完】ヤンキー少年とコヒツジ少女

隣で剣崎くんが丁寧に手を合わせている。
意外かも。
いただきますとか言わないタイプだと思ってた。
偏見かな。
ヤンキーでもいただきますくらい言うよね。


「い、いただきます。」


私も同じように手を合わせ、ご飯を食べ始める。
でも、緊張で全然味がしなくて。
せっかく作ってくれたお母さんに申し訳ないと思いつつ。
出来るだけ早く解放してもらうために。
少ない咀嚼で食べ物を胃の中へと押し込んでいく。


もぐもぐ、口を動かしつつ。
剣崎くんのお弁当の方へ視線を向けてみると。


卵焼きにハンバーグ。
プチトマトのサラダに里芋の煮物。
バランスのいいおかずが並んでいた。


「美味しそう……。」


無意識にそう言葉をこぼしていた。
気付いた時には遅くて。
剣崎くんの耳にも入ってしまっていた。


「あっ、えっと……。」


「食うか?」


私が何かを言うよりも先に剣崎くんがそう言っていた。


「え、っと……。」


「これやる。」


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