【完】ヤンキー少年とコヒツジ少女
そういって私のお弁当箱の中に剣崎くんの卵焼きが入れられた。
どうしよう……。
今、食べるべきだよね。
すごい見てくるし。
バレてないと思っているのか分からないけど。
気にしてない素振りをしながら剣崎くんはちらちらこっちを見ている。
た、食べづらい……。
でも、今食べないとキレられるかも。
私は意を決して卵焼きを口の中に頬り込んだ。
「……美味しい。」
甘さ加減がちょうど良くて。
家のよりも好きかもしれない。
本当に美味しくて、思わず頬が緩んでしまう。
「気に入ってもらえたなら良かった。」
そう言ってはにかむ剣崎くんに。
私は少しどきっとした。
剣崎くんも笑うんだ……。
初めて見たかも。
「け、剣崎くんのお母さん料理上手なんだね。」
「それ、俺が作った。」
「えっ。……ええっ!?」
予想外の返答に大声を出してしまう。
剣崎くんが作ったって。
剣崎くん料理するの!?
うそ、意外……。
私、包丁すら握れないのに。