【完】ヤンキー少年とコヒツジ少女

看板には、『Orange(オランジェ)』と書かれていた。
剣崎くんの髪の毛みたいな名前だなあ。


そう思いつつ、ドアを開けた剣崎くんの後ろについて行って。
お店の中へと足を運んだ。


「ただいまー。」


「た……えっ?」


つられて私もただいまっていっちゃいそうだった。
って、ただいまって。
ええっ?!も、もしかして。
このお店って……。


「ここ、俺の家。」


ギャップすぎる……。


「あら、帰ったの狼……って、まあ!」


剣崎くんのお家、ケーキ屋さんだったんだ。
ヤンキーとケーキ屋さん。
接点がなくてびっくりしてしまう。


お店の奥から剣崎くんのお母さんらしき人が出てきて。
私と剣崎くんを交互に見て頬を緩ませながら口に手を当てていた。


「は、はじめまして。小梛羊と申します。」


反射的に挨拶をしてしまう。
声、上ずってないかな……。


「あらあら、狼のお友達?いらっしゃい。
 ゆっくりしていってね。」


< 20 / 56 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop