【完】ヤンキー少年とコヒツジ少女
看板には、『Orange(オランジェ)』と書かれていた。
剣崎くんの髪の毛みたいな名前だなあ。
そう思いつつ、ドアを開けた剣崎くんの後ろについて行って。
お店の中へと足を運んだ。
「ただいまー。」
「た……えっ?」
つられて私もただいまっていっちゃいそうだった。
って、ただいまって。
ええっ?!も、もしかして。
このお店って……。
「ここ、俺の家。」
ギャップすぎる……。
「あら、帰ったの狼……って、まあ!」
剣崎くんのお家、ケーキ屋さんだったんだ。
ヤンキーとケーキ屋さん。
接点がなくてびっくりしてしまう。
お店の奥から剣崎くんのお母さんらしき人が出てきて。
私と剣崎くんを交互に見て頬を緩ませながら口に手を当てていた。
「は、はじめまして。小梛羊と申します。」
反射的に挨拶をしてしまう。
声、上ずってないかな……。
「あらあら、狼のお友達?いらっしゃい。
ゆっくりしていってね。」