【完】ヤンキー少年とコヒツジ少女

優しく微笑んだ剣崎くんのお母さんは。
軽く挨拶をした後、また奥へと戻っていった。


剣崎くんと似てなかったなあ。
たれ目で、優しそうで、人柄のいい感じの。
っていうことは、剣崎くんはお父さん似なのかも。


「とりあえず、ここ座って。」


剣崎くんの後ろをついて行って、イートインスペースの椅子に腰を下ろす。
カバンを椅子にかけた剣崎くんは。
そのままショウインドウへと移動し。
私と、剣崎くんの分のケーキを取り出してまたこっちへ戻ってきた。


「ショートケーキ、食えるか?」


「食べられます。」


目の前に置かれたショートケーキは。
生クリームがふわふわで。
真っ赤で大きなイチゴが乗っかっていた。


ケーキの中でショートケーキがいちばん好き。
そのせいもあってか目の前の白い宝石みたいなケーキに目を奪われていた。


「これ、俺が作ったんだ。」


「剣崎くんが?」


「俺、将来家継ぐのが夢で。こうやって少しずつ練習してるんだ。」


キラキラした瞳で夢を語る剣崎くん。
剣崎くんが作ったって分かると。
ケーキがさっきよりキラキラして見えた。


「いただきます。」


< 21 / 56 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop