【完】ヤンキー少年とコヒツジ少女
優しく微笑んだ剣崎くんのお母さんは。
軽く挨拶をした後、また奥へと戻っていった。
剣崎くんと似てなかったなあ。
たれ目で、優しそうで、人柄のいい感じの。
っていうことは、剣崎くんはお父さん似なのかも。
「とりあえず、ここ座って。」
剣崎くんの後ろをついて行って、イートインスペースの椅子に腰を下ろす。
カバンを椅子にかけた剣崎くんは。
そのままショウインドウへと移動し。
私と、剣崎くんの分のケーキを取り出してまたこっちへ戻ってきた。
「ショートケーキ、食えるか?」
「食べられます。」
目の前に置かれたショートケーキは。
生クリームがふわふわで。
真っ赤で大きなイチゴが乗っかっていた。
ケーキの中でショートケーキがいちばん好き。
そのせいもあってか目の前の白い宝石みたいなケーキに目を奪われていた。
「これ、俺が作ったんだ。」
「剣崎くんが?」
「俺、将来家継ぐのが夢で。こうやって少しずつ練習してるんだ。」
キラキラした瞳で夢を語る剣崎くん。
剣崎くんが作ったって分かると。
ケーキがさっきよりキラキラして見えた。
「いただきます。」