【完】ヤンキー少年とコヒツジ少女
手を合わせた後、フォークでスポンジを切り分けていく。
ふわふわのケーキを口の中へ運ぶと。
程よい甘さの生クリームとしっとりしたスポンジが口の中でとろけた。


お、美味しい……。
すっごく美味しい。
今まで食べたケーキの中でいちばん美味しい……!


「すっごく美味しいよ剣崎くん!」


あまりの美味しさに笑顔がこぼれる。
その様子を見た剣崎くんはお花が咲いたような笑顔を浮かべた。


「やっと笑った。」


嬉しそうに笑う剣崎くんに、すこしときめく。
やっと笑ったって……。


そう言えば私、剣崎くんと居る時。
下向いてるか、おどおどしてるかで。
笑ったことなかったかもしれない。


もしかして剣崎くん。
私を笑わせるために連れて来てくれたのかな……。


きゅっと胸が締め付けられる。


噂、絶対違うと思う。
剣崎くん、すごく優しい人だよ。


こんなにすごいケーキ作れるんだもん。
美味しいし、綺麗だし、宝石みたいだし。
素敵なケーキ作れる人が、悪い人なわけないもん。


じわじわ、心があたたかくなっていく。
じんわり、剣崎くんの心づかいが沁みていく。



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