【完】ヤンキー少年とコヒツジ少女
今、ありがとうって言った時も。
恥ずかしさの裏返し。
なんだ、剣崎くん。
すごいぶきっちょさんなんだ。
私達、似た者同士だ。
また、心があったかくなっていく。
剣崎くんを怖いって思っていた気持ちはもうない。
今は、親近感を覚えていた。
不器用さんなんだ、剣崎くん。
私の事、本当は嫌ってるとかパシろうとか。
そんなこと全然思ってなかったんだ。
隣で顔を手で覆っている剣崎くん。
もっと、知りたいな。
剣崎くんの事、知りたい。
誤解していたこと、全部訂正したい。
分からないピースを埋めていきたい。
新しい剣崎くんのピースを埋めていきたい。
「ちゃーす!狼いる?」
その時、お店のドアが開いた。
間延びした声を共に現れたのは。
活発そうな青年だった。
「来たのか、壱太。」
「なんか無性に狼ん家のケーキ食いたくなって……って、なにお客さん?」
「まあな。」