【完】ヤンキー少年とコヒツジ少女
「どうもっす。」
「こ、こんにちは。」
「俺、赤咲壱太って言います。狼とは中学からの友達で。……もしかして、狼の彼女さんっすか?」
「えっ、えっと……。」
「小梛が困るからやめろ。」
“狼の彼女さんっすか?”
この質問に対して、どう答えていいのか私には分からなかった。
告白された時は。
どうしたらいいのか分からないし。
断れば殺されると思っていたから。
半ば強引におっけいしちゃったし。
だから、すぐさま別れたいって誤解だって言いたかったけど。
今、あの時ほどそういった感情がない。
自分の中で変わりつつある剣崎くんへの思い。
どう扱っていいのか自分でもよく分からなくて。
口ごもることしかできなかった。
「俺、狼の作ったオランジェットが食べたい。」
「今出してくるからちょっと待ってろ。」
私に断りを入れた剣崎くんは、奥へと行ってしまった。
私と赤咲くんとふたりきり。
……どうしよう、気まずい。
そう思っているのは私だけなのか。
赤咲くんは平然とした様子だった。